NURSING EYE
理解するということ—いま看護に求められているもの
八谷 量子
1
1国立療養所道北病院付属看護学校
pp.450-453
発行日 1983年8月25日
Published Date 1983/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663907848
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マスコミの取り上げる癌・死と看護学生
ここ数年,癌末期の患者に対する世間一般の関心の高まりには目を見張るものがある.その大きな理由としては,癌による死亡率が年々上昇していることがあげられるだろう.また,テレビや出版物などのマスコミ報道関係が,この問題を大々的に取り上げることで,人々により強い影響を与えているようにも思う.
これは,一種のブームと呼んでも差し支えない現象であり,直接医療の場に携わる私たちにとって,何か違うのではないかといった違和感を生じさせる場面も少なくない.しかし,ブームというのは,やがては忘れ去られていくたぐいのものが多い.したがって,‘臨死’という,人間にとっての根源的な問題が,安っぽいテレビドラマや小説などに粗製乱造され,商品化されていくことに対して,時として激しい憤りを覚えるのである.
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