大正看護史・5
個人史からみた派出看護
渡部 喜美子
1
1都立鷺宮高校
pp.329-335
発行日 1982年5月25日
Published Date 1982/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663907686
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
大正時代の特徴ともいえる派出看護活動は,明治末期から昭和初年ごろまで隆盛を極めた.それだけに,営利主義的な看護婦会が多く,世論の批判も強かった.明治時代からすでに,看護婦会に対して未資格者の派遣や,金銭をむさぼる看護行為などが問題とされていた.しかしこれらは,医師や看護婦側から出された抗議であった.
やがて大正期になって,新聞・雑誌などマスコミによる社会的批判の的とされた.特に大正後期の新聞に‘看護婦2人と男1人が情死’(大正12年4月16日,朝日新聞),‘情夫に金を貢ぐため看護婦免許を悪用する’(大正13年10月21日,朝日新聞)などの風紀問題が次々と報道され,看護婦に対する蔑視の風潮が高まっていった.
Copyright © 1982, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.