発行日 1952年9月15日
Published Date 1952/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661907138
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看護婦という仕事が婦人の職業としてのびるための隘路の一つとなつているのは,結婚後仕事を續けることがむずかしいことである。病院によつては看護婦は必ず附屬寄宿舍に入ることときめているところもあり,大多數の看護婦は寄宿舍に住むことをよぎなくされるために,結婚してから勤めようと思つても斷念するか,工場や學校の看護婦として轉職するしかない。しかし,派出看護婦となれば,比較的動務が自由で,家庭の事情が許さない期間は勤めに出ないですますことができるので家庭を持つている婦人でも働くことが可能である。從つて,病院看護婦の90%以上が未婚婦人であるのに,派出看護婦は約50%が未婚で,未亡人,夫に離別したものが41%,他は夫のあるものとなつている。そして子供を持つているものが33%もあり,しかもその半數は16歳未滿の,母の保護を必要とする子供をかかえている人達である。それ故,病院看護婦とちがつて,約40%のものは自宅に住んでおり,自からが主となつて家計を支えているものが70%にのぼつている。この意味では看護婦としての生命は派出看護婦の方が長く,派出看護婦の適正な勞働條件が確保され,紹介,あつせんの方法が合理的に行われるようになれば,學校を卒業して病院看護に數年間,熟練した看護婦が,結婚後は派出看護婦としてその專門的技術を生かし,現實に不足している看護婦の仕事をおぎなつていくこともできるはずである。
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