調査研究
大学における看護教育への期待―27年間の個人史を通して
伊賀上 睦見
1
1愛媛大学医学部看護学科
pp.541-546
発行日 1997年7月25日
Published Date 1997/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663901649
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はじめに
27年も前に大学の看護学科を卒業した私は,1968(昭和43)年に保健婦助産婦看護婦学校養成所指定規則が改正される以前の,「旧カリ」といわれる教育課程の最後の時期に学生時代を過ごした.そのために大学では疾患別に看護を学び,職場では1968年以降のカリキュラムで学んだ若い看護者とともに仕事に携わった.大学卒業後は数回の転職と大学院修士課程進学を経て,現在は4年制大学で看護教育に従事している.そうした経緯から,自分の学生時代の看護教育と現行の看護教育の違いを否応なく意識させられる.
「旧カリ」による教育内容は決して十分とはいえず,教員もわずかであったが,心理学や教育学・哲学の教授も看護教育に熱心に取り組み,私も卒業論文や教育実習で個人指導を受け,強い影響を受けた.そして今になり,学生時代に受けた教育は,1968年の改正趣旨に応じたものと思われる.これには終戦直後に県立高知女子医学専門学校を廃止し,不足していた保健婦の教育を開始したいと考えた県衛生部長をはじめとする高知女子大学創設期の人々の高い理想と熱意,それとVirginia M. Ohlson女史(元GHQ看護課長,ロックフェラー駐日看護教育顧問)らに指導や援助をうけた歴史的背景1)があるのかもしれない.
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