教育技法研究 目で見る看護史—魅力ある看護史の授業をめざして・4
大隈重信狙撃事件と慈恵の派出看護婦
高橋 政子
1
1看護史研究会
pp.624-627
発行日 1983年10月25日
Published Date 1983/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663907879
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はじめに
写真1は“写真図説近代日本史”第4巻(p. 21,国文社刊)に掲載されたものである.私はこれを見たとき,外相・大隈重信*はどこの病院で脚の切断術をうけたものかと気にかかった.これだけ大勢の人たちを入れての回復記念撮影の場所がイメージできなかったからである.最前列4人の慈恵の派出看護婦の服装も興味深く,それは古い看護婦教育所出身者の聞きとりによって,次のように語られている.
‘院内の労働着は,夏は晒(さら)し木綿(もめん),冬は双子縞木綿(ふたこしまもめん)の筒袖の単衣(ひとえもの).その上に袖のないキャラコの長いエプロン.そして生徒の時はエプロンについた長い紐を交叉して前でしっかり結んだが(写真3の②),卒業するとこれが幅広の狐色の皮バンドになって,中央のバックルに“恵”の字が入った.帽子は白い寒冷沙(かんれいしゃ)で,足の方は足袋(たび)はだし.すべてが各人の手づくりであった’と.
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