焦点 慢性性(Chronicity)と生活史に焦点を当てた看護学的研究—これからの慢性疾患研究に求められる視点
病いの慢性性Chronicityと個人史—わが国におけるセルフケアから個人史までの軌跡
黒江 ゆり子
1
,
藤澤 まこと
1
,
普照 早苗
1
1岐阜県立看護大学
キーワード:
慢性疾患
,
セルフケア
,
セルフエフィカシイ
,
エンパワメント
,
生活史
Keyword:
慢性疾患
,
セルフケア
,
セルフエフィカシイ
,
エンパワメント
,
生活史
pp.303-314
発行日 2002年8月15日
Published Date 2002/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681900682
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はじめに
慢性疾患のまわりには,実に数多くの概念が取り巻いている。わが国において,1970年代から用いられたセルフケア,自己管理(セルフマネジメント),セルフコントロール,ソーシャルサポート(社会的支援)および病気の管理,病気のコントロールなどがそうであり,また,1980年代から用いられたコンプライアンス,アドヒアランスや,1990年代から用いられたセルフエフィカシイ(自己効力)註),エンパワメントなども知られているであろう。しかしながら,これらの用語は,看護の分野で頻繁に用いられているのにもかかわらず,あいまいに使っても漠然と了解されてしまうため,概念規定がなされないまま用いられていることがあるのも実状である。また,それが研究の領域であっても,同様の傾向がみられることも否めない。
これら概念のからみをほどくことは,おそらく一筋縄ではいかないことであろうし,膨大な資料が必要になることであろう。しかしながら,現代の看護に身をおく私たちは,ともするとこれらの用語のなかにからめとられてしまいそうになっていることにも気づいている。
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