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対象の全体像への接近のために[4]
川島 みどり
1
1東京看護学セミナー
pp.319-322
発行日 1982年5月25日
Published Date 1982/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663907684
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対象の理解とひと口にいっても,それはきわめてむつかしいことである.先に,看護婦が対象(患者)を見る目は,ともするときわめて職業的になってしまうということを述べた.理由はさだかではないが,看護婦集団のもつある傾向を,なんとしても克服すべきと考えるので再三いわせていただく.
つまり,その傾向は1人の人間として相手の苦悩を分かち合う,相手と同じレベルで感じようとする素朴な接近を,専門職とは無縁の,素人的な接近の仕方であるとする傾向である.その結果,ふつうの人ならだれでも感じるようなことを,むしろ看護婦であるがゆえに感じなくなってしまうことになる.幅広いすそ野をもった生身の人間らしさの上に,専門的な知識や技術をつみ上げていくことの大切さを,学生たちに強調してもしすぎることはあるまい.
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