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対象の全体像への接近のために[1]
川島 みどり
1
1東京看護学セミナー
pp.79-82
発行日 1982年2月25日
Published Date 1982/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663907644
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はじめに
3年課程の看護短大と高等看護学校の3年生の看護論演習を受け持って数年を経過した.小グループに分かれて,ともに共通の文献を読み,先人の看護観を学び,自己の実習体験を振り返りながら,看護へのイメージをより確かなものにしていくこの学習は,たいへん楽しいものである.外部講師としての限界と時間数の制約から,個々の学生の氏名と顔が一致しないままに終わってしまうことは,演習という形式の学習方法としてはあまり感心しないと思っているが,与えられた条件のもとではやむを得ないと割り切っている.
その年によって,学生のタイプや質のレベルの相違を感じるし,また,とりあげた文献による学習プロセスの変化などもあるが,討議の過程や発表の段階で気になることもいくつかある.それは,学生が自分の実習体験として引用する患者(対象)の理解や,看護問題のとらえ方がかなり一面的で,かつ観念的であることである,しかも,年々その傾向が強まっているように思われる.
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