ミネルバの灯(ひ) 看護と人間についての普段着の思索・10
日本語の独自性と看護
久保 成子
1
1善隣基督教会付属尾竹橋准看護学院
pp.651-654
発行日 1981年10月25日
Published Date 1981/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663907591
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日本人の日常表現は内含的であり,事がらをじかにいい表すことを好まない.もっとも日常的な例として,別れるときに,‘さようなら’という.これは‘然様(さよう)ならばお別れしましょう’との意味であるが,英語になおせば,‘if so’である.それだけではおよそ意味をなさない.しかしわれわれはここに,日本人の情緒的にこまやかな,無限の深さを読みとることができる.
そこには,‘あなたとお別れしたくないのだが事情やむをえずお別れします.またお目にかかる日もあるでしょう.お達者で’というような意味の内容が,表現されることなしに,内含的に‘if so’という短い句の中に含まれているのである.
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