特集 リハビリテーション医療の問題点
リハビリテーション医療の独自性の確認を
大橋 正洋
1
1神奈川県総合リハビリテーションセンター
pp.602
発行日 1988年8月10日
Published Date 1988/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552105878
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我が国で採用されているリハビリテーション(以後リハ)医療システムは米国にその起源を求めることができ,他の診療科に無いいくつかの特色を持っている.しかし,そのユニークさがリハ医療の弱点となっていると考える.
ユニークさの第1は,治療の目的が他の診療科と異なる点である.医療の通常の目的は,「救命」や「疾患の治癒」といった絶対的な事柄であろう.しかしリハの場合は治療目標として,障害者の全般的な情況を考慮したうえで,いくつかの選択肢の中から相対的に重要と判断された事柄を選択する場合が多い.たとえば障害者を寝たきりとして病院暮しをさせるという方針と,機能訓練を行って車椅子生活の自立を図るという方針には,「救命」や「治癒」といった医学的優先事項に関わらない点で差異は無い.この2つの方針に差を認めるのは,障害者の「生活の質」を高めることに価値があると判断するリハ医療独自の立場であろう.ユニークさの第2は,治療を医師のみが行うのではなく,PT,OTなどのリハスタッフとのチームアプローチによって行うことである.
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