特集 看護研究を検討する—あるレポートを中心に
検討2
看護独自の領域の開拓を
安食 正夫
1
1東京医科大学
pp.33-34
発行日 1968年10月1日
Published Date 1968/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661914145
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この研究報告者の病棟の患者数は32名とあるから,Iさんを除く31名については,いうところのチーム・ナーシングがうまくいっているのであろう。が,このレポートはIさん問題に終始してしまい,他の患者の状況がぜんぜんわからない。うまくいっているならいっているで,どの程度うまくいっているのか,問題がどのように処理されたのか,その原動力はなにか,さらに,うまくいっていると見えたのは表面だけで,発展のしかたによってはきわめて重大な局面をむかえたであろうような潜在的な事態はなかったか,こういった問題に触れてほしかった。
Iさんとの看護場面では,Iさんのニードとナースの判断のズレ,看護態度の反省などが分析されているが,皮肉なことに,これだけでは“患者中心の看護”とはいいがたいと考えざるをえない。
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