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看護婦の‘主体性志向’について—専門職志向の分析を中心として
宗像 恒次
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1日本看護協会調査研究部
pp.569-576
発行日 1974年9月25日
Published Date 1974/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663906807
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Ⅰ.はじめに—問題提起
看護婦の主体性の確立ということが唱道されて久しいが,今日でも既に看護婦の主体性は確立し得たと本気にいえる人は少ないであろう.では主体性の確立ということが久しく唱えられながらも,なぜむなしくも現実的に確立し得ないのか.今日ほどこの問いを看護婦自らが自らを反省する問いとして発せられるべきときはないのではないか.この様なとき,私たちが看護婦の‘主体性’という概念に込めようとする現実的な意味を読み取り,その現実的な意味のもつ‘意味’について解明することは,彼女らにとって貢献的なことかも知れない.
ここでいう現実的な意味のもつ‘意味’とは,看護婦が‘主体性’という概念をもって,日常現実的な看護行為にいかに反省を加え,そしてその反省に立って進行中の看護行為にどのような前進的なまとまりを与えようとしているのか,そしてそのような前進的なまとまり(有機性)を,それぞれの看護行為に与えることが,どのような状況を醸成することに機能するのか,また最後に,だからこそ看護婦にとって主体性とはどのようなものと考えるべきなのか,という3つのことである.以下,本稿ではこれら3つの問題について論及してみようと思う.
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