心起こし身体起こし・9
“問題”志向 vs “解決”志向
河津 孝一
1
1心と身体のカウンセリング健塾
pp.890-891
発行日 1999年11月15日
Published Date 1999/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688901908
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K子の家には,リュウマチの母親へのマッサージで訪れた.母親は四肢の関節に拘縮があり車椅子生活.聞けば子供2人も障害児という.「子供にもマッサージを」と依頼があり作業所から帰る時間を確かめ次の訪問となった.2人は全てにおいて介助が必要だった.「大変ですね」と溜め息が出てしまった.私は努めて明るく振る舞おうとした.しかしその力みはここでは無用であった.不思議とこの家では気分が明るくなる.冗談を言い合う父母,そして子供たちも笑っている.この家で溜め息は似合わないことに気づかされた.
私:「この家って何でこんなに明るいの?」
母:「こんな家(重度障害者が3人の家)まず無いわね,だから明るくやらんとしょうがないがね」
と笑って答えた.悲惨な状況だと私(専門家)が勝手に感じただけだった.ただし初めからこう明るくはなかったと言う.この状況の中,家族が選択した力,最善の方法,それが明るさだったのだ.
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