教育技術解説・2
学習意欲
佐々木 俊介
1
1新潟大学
pp.125-129
発行日 1973年2月25日
Published Date 1973/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663906656
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I.学習意欲は教育の目的でもある
今回は学習意欲について述べよう.学習意欲とは,文字通り,学習したいという欲求であり意志であって,これが欠けていれば,ほとんど学習は起こらない.水を飲む気がない馬を川ばたへ連れていくことはできるが,水を飲ませることはできないといわれるが,これと同じで,学ぶ気持ちのない者を机にすわらせておとなしくさせておくことはたとえできても,ほんとうの意味での学習をさせることはできない.逆に学習意欲がさかんな者は,少しぐらい教え方がまずくても,条件が悪くても,自分の力で困難にうちかって未知の分野を切り開いていくであろうし,教育が最終的に育成しようとしているのは,このような人間であろう.このように,学習意欲は,教育の手段として利用できるだけでなく,それを喚起することが教育の目的でもあるのである.
この学習意欲が,教育にとってたいせつであるということは,おそらく昔からわかっていたであろうが,その本質がわかるまでにはかなり長い時間がかかった.少し横道にそれるかもしれないが,教育の歴史をしばらくたどってみよう.
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