実習日誌
実習に意欲を
工藤 徳次
1
1弘前大病院中検生化学
pp.32
発行日 1974年11月1日
Published Date 1974/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543200615
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最初の実習生が来てから,もう7回めになる.ほんとうに早い.年々実習に必要な設備,分析機器などが充実されるにつれ,実習生も私どももその便利さにしだいに慣れ,安住しているような気がしてならない.不便な時にはいろいろ創意くふうをした.比色計や機械が故障すれば結果的に修理できなくても分解し,整備し,その過程で原理的なことを知った.また必要な文献,雑誌は時間を費して一字一字書き写すことによって内容を理解した.今ではほとんどコピーを利用する.一読し簡単に理解した気分になり忘れやすい.日常でも精密な分析機械ならまだしも通常の機械類でも作動しないと,すぐに故障とし,ただちに修理依頼することが多い.現在は能率化の時代だと言われているが,それによって他に有効な時間を生かしているだろうか.
実習生も,カリキュラム以外のことにかなり時間をさいているような気がしてならない.私の思い違いであると幸いだが.実習生にとって,恵まれているかどうかは施設,設備,機械器具が充実していることも重要ではあるが,それよりも,まず第1に,教育する側の確固たる教育方針とカリキュラムの内容,第2に,指導教官と主任技師が,その意図をどのように反映させるか,第3に,実習生を仲間と意識し,率先して指導する各技師の熱意,が最もたいせつなことではないかと,私なりに考えている.しかし,以上は実習させる条件が整っただけであり,"実習生の自覚と意欲"が,すべてに優先することはいうまでもない.実習生に自覚と意欲をいかにして持たせるかは,教育する側としても,最も重要な点である.
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