私のエンマ帳
『寮』の解体論をめぐって
徳永 清
1
1明治学院大学・広報室
pp.42-43
発行日 1972年1月25日
Published Date 1972/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663906546
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■「そんなバカな話があるかッ!」学院長は烈火の如くに怒った.まるで,目の前の教務主任が敵か仇か,本人そのものかのように,顔を真ッ赤にして,テーブルを叩いて,真底から怒号した.いつも温厚な産婦人科医である学院長にしては珍しいことである.新米の専任教員である私は眼をパチクリする.
ムリもないと思う.立場上,まことにやむをえないことだとわかる.しかし,この事態をどうすればいいというのであろう.お互いに忙しい時間を割いてこの問題で「連絡協議会」をひらくこと数回,学生との交渉は毎晩だし,日常の業務もあるし,当面の責任者である教務主任も寮長もいいかげんくたびれ果てているし,現場の私たちもクタクタだ.こじれにコジレてしまった「寮」の解体論は理論と現実が噛み合わないまま,もう1か月以上も空転している.
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