本との対話
—宇佐美 承 著—真実と勇気の記録
菅 龍一
pp.37-41
発行日 1972年1月25日
Published Date 1972/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663906545
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人との出合い
“あなたが愛する定時制高校生とその卒業生のことを思いつつ,この本を書きました”という献辞つきで,著者にこの本を贈っていただいたとき,正直言ってぼくは少々当惑した.というのは,ぼくの定時制高校生や卒業生への想いを‘愛する’などという一語で概括して欲しくない,と思ったからである.しかし,本書を読み進むにつれて,この当惑は消えていった.著者が,本書に出てくるような人々を文字通り愛していることが,ぼくにはよく理解できたのである.
20年近い記者生活を通じて,ぼくが会った人は,おそらく万を越すだろう.ごく少数のイヤなヤツをのぞいて,ぼくは,そのひとりひとりをだいじにしてきたつもりだ.そのなかで,たとえ仕事上の関係がなくても,個人的に,家庭的に一生つきあっていこうと思った人が10人ちょっといる.ぼくとの<出合い>の人たちだ.このことだけでも,ぼくはジヤーナリズムという職業を選んでよかったと思う.
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