私のエンマ帳
盗みをはたらいた2人の看護学生
徳永 清
1
1明治学院大学広報室
pp.58-59
発行日 1971年4月25日
Published Date 1971/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663906452
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■3月のはじめの,ある土曜日の午後。そろそろ帰り支度をしようと教務の机の上を片づけていたら,電話がヂリヂリと鳴った。「いま時分だれだろう?」
受話器をとると,ききなれない男の声で,市内のMデパートだが「おたくの生徒にxさんとyさんというひと,いますか?」という。とっさに2人の顔を思いうかべながら,ある胸さわぎがして「いますけれど,どうかしたのですか!」と,畳みかけるようにきき返していた。「ご足労でも,ぜひ,こちらへ来て頂きたい。電話でお話するのも,なんですから……」と,学院の責任者に会いたいというのだ。これは,何かあったナ,と取るものも取り敢えず,看護学院を飛びだした。
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