教育技術ゼミ
テストの方法・4—客観テストの形式
沼野 一男
1
1東邦大
pp.42-44
発行日 1971年1月25日
Published Date 1971/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663906414
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論文体テストには,すでに述べたように採点の客観性が保証されないこと,問題数が制限されるために出題に偏りがあること,および出題の意図が学生に明確に把握できないことがあることなどいくつかの欠点がある。客観テストはこれらの欠点をカバーするために工夫されたテストの形式である。
テスト結果が教師の主観によって左右されないようにして,テストの客観性を高めようという試みは,すでに19世紀の中頃から行なわれていたが,客観テスト(objective test)が学校教育のなかに広く取り入れられるようになったのは,20世紀に入ってからである。それは当初教育測定運動と呼ばれたが,この運動に最も大きな貢献をしたのは,アメリカの教育心理学者ソーンダイク(Thorndike, E. L.)であった,彼は「すべて存在するものは,量として存在する」という信念を持って,児童,生徒の能力を客観的,数量的に測定することを提唱した。彼のこの考えは,従来の口頭試問や論文体テストの非能率性や主観性に不満を持っていた人々に広く受け入れられて,客観テストは次第に教育界に定着するようになったのである。
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