連載 教育評価のはなし
客観テストの作成と利用
岸 学
1
1東京学芸大学
pp.633
発行日 1986年7月25日
Published Date 1986/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206924
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テスト問題は,一般に客観テストと論文体テストとに大別されます。そのうち客観テストは,評価の用具としてさまざまな場面で活用され,いろいろな形式のものが提案されています。前回は,両タイプのテスト問題を作成する上で共通する問題点についてお話ししましたが,今回は,客観テストのいろいろな種類について,それぞれ特徴を挙げながら述べてみましょう。
客観テストには再認形式と再生形式とがあります。再認形式は,あらかじめ提示してある選択肢の中から正答を選んだり,正答かどうかを判断したりなどの方法で解答するものです。一方,再生形式は,設問に対して適切な答えを想い起こして解答していくタイプです。ですから,再認の場合は,正答かどうかを選択し判断する過程が主であり,答えとなる内容そのものを想起する必要はありません。それに対し再生は,情報を誤りなく想起できなければ答えることができず,一般に,再認よりも難しいとされています。ただし,我々の記憶は,情報をどのように覚えたのかと関係し,再認できるように覚えた情報を再生させたり,再生したものを再認させたりの場合,やや思い出しにくくなることも知られています。人名や年号などを再認タイプで教えておいて,テストで再生させようとしてもよくできないのは当然です。
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