教育技術ゼミ
テストの方法・5—客観テストの長所と短所
沼野 一男
1
1東邦大学
pp.38-41
発行日 1971年2月25日
Published Date 1971/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663906424
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
客観テスト作成の困難さ
前号では,客観テストの形式について述べたが,それはただ形式を羅列しただけで,それぞれの長所や欠点については,あまり触れることができなかった。また,現在では客観テストの多くは,標準化されたものではなく,教師がその教授目標に応じて作成する教師作成の客観テストであるが,客観テストの作成ということは,論文体テストの問題を作るのに較べてずっと慎重な準備が必要である。もっとも,論文体テストの問題も真剣に考えれば,その作成は決してやさしくはないのだが,そうしようと思えば,とにかく問題の形になっているものを作ることはできる。しかし,客観テストの作成には,教師が余程ズボラな,いい加減な人でない限り,そう簡単に作るというわけにはいかない。それにはかなりの準備と時間が必要である。
まず第一に,論文体テストの問題を作る場合,教師は自分が学生にどういう解答を求めているのかがはっきりしていなくても,とにかく問題が作れるということがある。学生のどういう答案に良い点をつけ,どういう答案を低く評価するかは,学生の答案を読んだ後でゆっくり考えることもできる。本当はそれではいけないのだが,そういう形で問題を作っている教師は,決して少なくはないと思う。
![](/cover/first?img=mf.1663906424.png)
Copyright © 1971, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.