特集 技術者養成と看護教育
座談会 技術者養成と看護教育
宮坂 広作
1
,
大森 文子
2
,
津久井 十
3
,
薄井 坦子
4
,
仲田 妙子
5
1お茶の水女子大学
2日本看護協会看護婦会
3川崎市立高看学院
4東京女子医大看護短大
5国立相模原療養所高看学院
pp.10-16
発行日 1969年9月1日
Published Date 1969/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663906225
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技術と技能との展開
司会(宮坂) 今日のお話し合いのテーマは,「技術者養成と看護教育」ということになっております。今日日本の技術者養成一般がぶつかっている問題点としましては,はたして現代の技術とはなんだろうか。特に技術者の人間性とか,あるいは技術の社会性といった問題が問われているなかで,そもそも技術とはなんであるか,企業内に閉鎖されてしまう技術でよいのだろうか,あるいはもっと公共性をおびた技術というのがあるんじゃなかろうか,なかんずく看護の技術のような,きわめて社会性ないし公共性をもっている技術をどう考えるか。その養成の手立てをどう考えるか,このへんについての話し合いを求める,こういう趣旨でございます。
そこでまず,特に看護教育というご出席の皆さんがかかわっていらっしゃる領域にひきつけて考えてみますと,従来,看護婦という職業は技能者というふうに扱われてきたんじゃないだろうか。では技能者とは何かといいますと,技能者の典型は職入,つまり大工さんとか左官屋さん,あるいは洋服を仕立てる人なんかがそうだと思うんですけども,そういう人たちは非常に長い期間をかけた熟練によって得られるようなスキル,いうならば肉体の中に定着された特殊な能力,別に精神がかかわっていないという意味じゃございませんけれども,体に覚えこませる勘やコツの集積のなかで,それが定型化したもの,これが技能の通俗的な解釈だろうと思うんです。
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