特集 教務への期待と提言
論稿
臨床から教務へ
要求される看護教育の再検討—幅広いフィールドへ出よう
楠原 由利子
1
1高松赤十字病院
pp.30-33
発行日 1969年4月1日
Published Date 1969/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663906152
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はじめに
学院卒業後,やっと自分の時間を,いくらかでも自由な気持ちで使えるようになり,この一年,自分は少しでも進歩しただろうかと考えるだけの余裕が出て来た今,学生時代とはまた違った立場から,看護教育に対して新しい問題を持ち,その問題を表現できうるかどうか心配である。というのは,教育を受けていた学生である時の主観的態度から今度は逆に,第三者(もちろん,これは広義の一般的第三者としての意味ではなく,学生と密接なる関係にある第一人者としての教育者と,それに相対する学生の二者に対しての意)の立場から,少なくとも学生という身分からは完全に離れた立場から考えねばならないという点においてである。
私が学院を卒業して,社会人として一応認められ,とにかく,失敗だけはしないようにと念じて看護業務に携わってきた一年,この日本の大学生という名の,私と同年齢の若者たちはとうとう大学紛争にのみ明け暮れたのではないかとさえ思われた。
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