学院長より一言
医療保障制度の確立を望む
菊池 博通
1
1広島県立高等看護学院
pp.42-43
発行日 1968年1月1日
Published Date 1968/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663905964
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私は約10年ほど前某病院に手術のため入院し,一患者として看護学生,看護婦に接したことがある。人さまざまである。自分は学校の成績がよい,あるいは顔が美しい,容姿がいい等を鼻にかけつんとすまし機械的,事務的に仕事をする人。容貌はそれほどでなくとも,勉強がそれ程優秀でなくとも,非常に親切で心のこもった看護をしてくれる人。むしろ私は後者の人にこそ本当の美しさ,心の美しさが感ぜられ,感謝と尊敬の念がひとりでにわいてくる。10数年来学院で内科学を講義し,約4年前から病院長兼学院長として勤務しているので所感の一端を述べ,学院長よりの一言としたい。
看護学院における勉強は医学,看護学,看護技術の習得のため努力することはいうまでもないが,普通に勉強していても,あるいは卒業後看護婦になってからでも必要なことは身につくものである。現代の世相はドライとなり,社会的環境も悪く,また学校教育,家庭教育の欠陥のためか,何事でも金銭的観念が優先し,自己本意となり,特に若い者は自己主張が強く他人の言を否定するような思想になってきているのは,たいへん歎かわしいことである。
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