教育技術ゼミ
「教えること」と「学ばせること」
沼野 一男
1
1東邦大学
pp.58-59
発行日 1967年7月1日
Published Date 1967/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663905852
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■教えることの意味
われわれは毎日学生を教えている少くともわれわれはそう思っている。しかし,「教える」ということは,一体どういうことなのか。われわれが毎日教室や実習室で行なっている具体的な活動が,そのまま「教える」ことなのだろうか。そうだともいえるし,そうでないともいえそうである。
われわれが毎日教室や実習室でしていることは,講義をしたり,デモンストレーションをしてみせたり,質問したり,実習や練習をさせたりすることである。時にはお説教や訓戒を与えたりするかも知れない。こういう活動はもちろん無目的に,あるいは何の意図もなく行なわれるわけではない。講義をしたり,質問したりするのは,学生に新しい知識を与えたり,何かを理解させるためであり,デモンストレーションをしてみせたり,実習をさせたりする目的は,生徒を何らかの技能に習熟させることであろう。また,お説教や訓戒を与えるのも,自分の虫の居所のせいでそうするのではない。学生の態度や心がまえを望ましい方向に変えさせるためである。
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