教育のひろば
教育こそ近道
若松 栄一
1
1厚生省医務局
pp.5
発行日 1967年1月1日
Published Date 1967/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663905748
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最近はアジアの閣僚会議が開かれたり,あるいはアジア開発銀行が発足して日本人が総裁に選任されたりして,日本がアジアの開発に目を向け力をかす姿勢が漸く強まってきた,いろいろな国際機構に協力し,あるいは日本独自の立場で経済社会開発のための技術援助が行なわれている。農業技術,通信運輸あるいは工業開発の援助が行なわれ,私自身アジア各国に対する医療援助の仕事を手伝っている。
そうした経験から振返って見ると現在のアジア諸国の現状はいわゆる先進国に比べて百年,二百年のおくれがあるといってよいだろう。もちろんテンポの早まった世代だから,おくれを取りもどすのも短かくはなるだろうが,それにしても大変な道のりである。そこで開発を進める最良の方法は何かというと,私は教育であると思う。急がば廻れ,という言葉がこれ程ぴったりする事はないと思う。世界各国がよってたかって援助をして見ても,しょせん手助けであって,自力ではない,援助では算術級数的発展も期待できないが,自力によるそれは幾何級数的である。国民教育の充実こそ成長発展の最大の近道であると思う。
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