FOCUS
いま再考の時 市町村の母子保健—市町村母子保健活動の強化こそが子ども虐待予防対策の近道
渡辺 好恵
1
,
鈴宮 寛子
2
,
鷲山 拓男
3,4
1PSG研究会
2島根県雲南保健所
3社会福祉法人子どもの虐待防止センター
4とよたまこころの診療所
pp.760-766
発行日 2017年9月10日
Published Date 2017/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664200771
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母子保健の歴史的背景と保健師活動
わが国の母子保健のルーツをさかのぼると,第二次世界大戦中の1937(昭和12)年に,保健所法,母子保護法が成立し,その後,乳幼児健康診査(以下,乳幼児健診)が1939(昭和14)年に始まり,1942(昭和17)年に妊産婦手帳ができ,母子健康手帳へと発展していった(図1)。1948(昭和23)年に児童福祉法,1965(昭和40)年に母子保健法がそれぞれ制定され,母子保健の根幹が整備された。当時は,保健所や都道府県が中心となり母子保健対策が展開されたが,その後,地方分権が推進され,生活に密着したサービスは基礎自治体である市区町村で提供するよう,さまざまな法律が整備され,母子保健法もその実施主体が市区町村となった。
母子保健活動の中で保健師が貫いてきた基本的な考え方は,地域で暮らす子どもとその親および養育者の支援による健康の保持増進である。保健師は子どもとその家族の姿を見つめ,その生活の中で健康課題解決への糸口を発見し,支援する。できないことがあれば,それは何か,何がどのように変わればよいかを当事者とともに考え,ともに成長することで,子どもと親・養育者にとって最善の利益を得ることができる。ここで注意すべきことは,保健師が主に話を聴き,関わりを持つのは親であるが,その結果は子どもを見て判断することが必要になる点である。
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