教育の歴史・9
日本における近代的教育制度の成立
高倉 翔
1
1大阪学芸大学
pp.53-56
発行日 1965年1月1日
Published Date 1965/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663905405
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「教育の歴史」(4)で述べたように,日本でも「学校」に類する教育機関は,すでにはやくも奈良時代から発生していた。江戸時代になると,庶民の教育機関である寺子屋が,かなり普及していた。しかし,これらの学校は,特権階級が,自分たちの権力を強めるために作ったものであったり,庶民が,生活の必要から作りだしたものであった。また,これらの学校は,はっきりした体系をもつ学校制度に位置づけられることもなかった。すべての国民が,教育を受けることを義務づけられることもなかった。特権階級は自からの利益のために,庶民は社会生活の必要から勝手に子どもたちを学校へ通わせていたにすぎなかった。小学校,中学校といった名称の学校が,それぞれの程度や系統をはっきりさせ,明確な学校制度,つまり,近代的学校制度が作られ,すべての国民が学校に通うようになったのは,日本の場合,明治以後のことである。以下,明治以後の,近代的教育の発達について概観してみよう。
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