Guide for Teachers 小特集・私は精神科看護法をこう教えている
精神分裂病の看護
徳永 美津子
1
1国立大阪病院精神神経科
pp.11-15
発行日 1962年6月1日
Published Date 1962/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663904199
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まえがき
精神分裂病の問題は精神医学上いろいろな意味で最も重要な位置を占めている。
分裂病は四大精神病の中でも最も多く,主として思春期以後の青年時代に発病して,特有の人格的統一の喪失(すなわち精神機能の分裂)のを来たす疾患である。その特徴としては病前の個性が失われ,各種の精神症状の出現と共に社会的連繋が断たれる内因性の精神疾患である。本病は精神病院に入院してくる患者の15〜20%を占め,しかも治癒が困難で終生入院を必要とする状態に陥りやすい。どこの精神病院てもその収容数は60%前後を占めている。私たちはこうした患者の社会復帰を前提として治療し看護しているにもかかわらず,中には痴呆化,荒廃化しで慢性の経過をたどる場合が非常に多い現状である。このような患者にとって病院生活は,治療と看護を受けると同時に日常生活の場につながっているそれを考えるとき,精神科勤務者に望まれることは,特に人間的なあたたかい愛情と理解を根底とする人間関係である。各個の現象的症状を示す患者全体に対して,特にその症状を現わすようになった,患者の深層心理を理解し,その理解のもとに患者を指導し看護しなければならない。精神病看護法を教えるにあたっては,open door system,閉鎖病棟で症状,治療別に収容している場合,あるいは各種疾患を混合している場合など,その看護の方法,あるいは患者管理の方法は異なってくる。私はそれらの一つ一つの例をあげながら疾患の看護,特殊治療とその看護法に約20時間を使っている。
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