随想
考えること感じること(6)
道 栄
pp.38
発行日 1962年2月1日
Published Date 1962/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663904146
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エヂンバラでその大学に設けられた看護学ユニットと王立幹部看護婦養成学校を4日間にわたって見学したあと,エヂンバラの町の見物をしました。小高い丘の上に立つエヂンバラ城は,このスコットランドの歴史をそのままに再現する雰囲気で,なお強く湧出する民族の人間性の底力を私に感じさせてくれました。
町の中心部の改築が相当に行なわれていましたが,それぞれすべて十六,七世紀を思わせる古いつくりで,ただ内部だけがそれぞれの商店にふさわしい近代的な考慮がなされていて町全体の調和が少しも乱されていないことに,改めてこのエヂンパラに十分な計画性にもとついた町づくりが進められていることを知りました。英国の一部であるスコットランドは,今日ではすべてが英国と同一視されていて,特に外国人である者にとってはその差とか違いとかにはややもすると無関心でありまたたいして問題になる点とも思われない漢然とした反応を抱くものですが,スコットランド人にとっては,その独自の歴史の流れに遡のぼる民族の血が現在の国民の誇りをささえていることに根強い自覚をもっているのです。
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