研究・調査・報告
産婦の感じる「満足な分娩」を考える—「ふりかえり」を通して
志水 美和
1
,
李 節子
1
1東京女子医科大学看護短期大学
pp.1037-1044
発行日 1995年12月25日
Published Date 1995/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611901381
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はじめに
近年,妊産婦向けの一般雑誌が増え,その数の多さからも,それら雑誌から,なんらかの情報を得ようとする,妊産婦のニードの強さを感じとることができる。北野らによると1),初産婦,経産婦ともに読者の60〜80%以上が,その記事の中でもとくに体験談に興味があり,それが役立つと答えている。また最近では「満足なお産」についての記事が頻回に取り挙げられ,読者である妊産婦は,それらの記事を読むことで,自己の「満足なお産」のイメージをふくらませていると考えられる。
出産は,その女性にとって,生涯の中でも最も貴重な体験のひとつとなろう。その出産を「満足のいくもの」として経験したいという願いは,当然のものとしてとらえられるべきであり,そこにかかわる医療者にはつねに,産婦にとって安全で安楽で満足なお産となるような援助が求められてきている。それに伴い,近年,産婦の分娩の満足度に関する研究報告もいくつかされているが,それらの報告によると,一般に,管理体制の中で「安全」「安楽」へのニードはかなえられていても,産婦にとって分娩は,必ずしも「満足」な体験とはなっていないということが明らかである。
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