雑感
近ごろ感じたこと
山田 辰一
pp.1573
発行日 1966年11月20日
Published Date 1966/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407204153
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戦後,研究および診療の分野—したがつて学会も—の細分化が甚だしくなつてきているようだが,その反面,ある一つの臓器または一系列の疾病について各科の統合が,特に最近進んできているようだ.老年医学会に出席すれば内科・外科・眼科・整形外科・精神科などの研究発表を聴くことができるのもその現われだし,女子医大の心研は外科・内科・小児科および眼科や病理の経験を有する医師により構成されており,研究と診療はこれらの各科医師の協同のもとで行なわれている.癌研また然り.
多くの開業している先生方,ことにこれから医局より巣立つ先生方は,細分化された医学のごく一部分を研究してきたのであり,当然のことながら,他の分野の知識は大学卒業の時点において止つておることも少なくなく,経験は極めて乏しい.知識と技術の上で他の医師との協同と交流が必要であるし,一国一城の主というような気持は時に患者の不幸を招こう.
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