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プレスキャンペインというもの
長谷川 泉
pp.615
発行日 1961年12月1日
Published Date 1961/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663904115
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東京女子医大でおこなわれた心臓手術に,特殊な血液型の患者であつたため,その手術必要量の特殊な血液を集めるためにジャーナリズムが活躍した。その効果は大きく,困難な手術を完了させるだけの特殊な血液が集められ,手術は完了した。ジャーナリズムは,この挙が人命を助けるという大切なことがらにつながることであるから,積極的に協力体制をしき全国に広く呼びかけ特殊な血液型を持っ人の血液供出を提案し,見事にそれを果たしたのである。一種のプレスキャンペインである。
ところで,人命を助けるということは,最も大きな関心事であるからジャーナリズムは積極的にこのような挙に出た。その対象になつたのは2人の人間である。ジャーナリズムがこれを,あのような形でとりあげたのは,そのことが単なるニュースとして興味があるというだけではなく,そのことが人命を助けることになるという正義観につながつていたからである。それをどのようにとりあげるかは,単なる他からの要請ではなく,ジャーナリズムの枢機を握る首脳部が,自主的にとりあげたものであろう。みずからの意志によって,それを決定し,その意志に従つて行動したものであろう。
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