教材
日本近代女性史—第4回 旧憲法・民法下の女性
福地 重孝
1
1和洋女子大学
pp.523-526
発行日 1961年10月1日
Published Date 1961/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663904091
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帝国憲法下の女性
1886年(明治22)に明治の帝国憲法(旧憲法)が成立し,1898年(明治31)には明治の民法が実施された。この二法は,明治・大正・昭和の市民生活の道しるべとなって,太平洋戦後に制定された民主的な日本国憲法と新民法が生まれるまで続くのである。旧憲法・民法が示した市民生活の法的規範の精密な地図は,それ自身近代日本女性の公私両面の生活の道しるべとなったのである。
旧憲法は「大日本帝国憲法」といって明治22年2月11日に発布された。待ち望んだ議会政治の実現が一歩近づいたのであるから,3000余万の国民は憲法発布を小躍りして喜んだ。これまで国会開設促進や,民権運動などにたずさわり,国事犯にとらわれたものは大赦の特典をうけ,自由の身となった。街は祝賀の装飾でおおわれ,ちょうちん,アーチ,山車,花火などいたるところによろこびの声がわき上った。
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