教材
日本近代女性史—第3回 自由を求めて
福地 重孝
1
1和洋女子大学
pp.463-467
発行日 1961年9月1日
Published Date 1961/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663904079
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女流民権運動
1874年(明治7)板垣退助らの民選議院設立の建白書提出があった前後から,自由民権運動はさかんとなった。この建白書には,一般人民をも政治に参加させよとの要求ばかりでなく,婦人参政権問題も提起されていた。自由民権運動の思想は輸入されたルソーなどの自由・平等の思想にもとづくものであったが,これらの思想とともに,ミルの男女同権論や,スペンサーの女権真論も飜訳され,また女性啓蒙を説く著書や論文が多く発行されたから,それらが才学ある少数の女性の眼にふれ,女性の自覚を刺激せずにはおかなかった。
自由民権運動は,ときの藩閥専制政府とはげしくたたかい,明治10年代には,いくつかの激化事件をおこした。民権運動家は政府官権からは「国賊」とよばれ,「火つけ泥棒」とののしられながら,民主政権の樹立をめざして闘ったが,政府の軟化策と弾圧策に屈して挫折の運命をたどらねばならなかった。
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