連載 癒しの環境・16
壁について考えてみよう
高柳 和江
1
,
クミコ・クリストフ
1日本医科大学(医療管理学教室)
pp.256-257
発行日 1996年4月25日
Published Date 1996/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663903739
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建築学的に壁の効用は構造物としての支持が主であった.ここに,遮蔽の機能,安全(広さ,防煙)や,機密性,保温・保湿機能,防音,収納などが加わる.エルサレムには嘆きの壁としてキリスト教徒の信仰の象徴になっている壁もある.
これが,医療用壁になると安全性が必須である.車椅子やストレッチャーが通るためのスムースな壁で,障害者が歩きやすいように手すりを取り付けねばならない.アルツハイマー患者の病棟では,手の運動をかねてわざと凹凸の壁を作っているところもある.誘導性も壁の重要な機能だ.米国の高齢者や痴呆の老人のいる施設では,開けて危ないドアの取っ手や手すりに砂などをまぶしておき,ざらざらの感触で,危険区域を認識できるようにしてあるところもある.
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