特集 看護教育50年の評価
看護教育にかかわる医師の立場から
二宮 恒夫
1
1徳島大学医療技術短期大学部
pp.668-670
発行日 1995年8月25日
Published Date 1995/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663903697
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
我が国の医療水準は,新生児死亡率の低下,疾患の早期発見・治療法の進歩,平均寿命の延長など世界的にも誇れるものになってきた.しかし,疾病構造の変化,高齢化社会の到来に伴う保健福祉体制の整備,医療技術の高度化がもたらす生存の質の問題など新たな課題が生じてきた.これらの解決には,コ・メディカルスタッフが,それぞれの専門的技能を生かし協力して取り組むことが大切であるが,なかでも人間を統合的に理解し,社会生活の営みを可能な限り豊かにすることを活動の理念としている看護識者に対しては,社会からの期待はますます強くなっている.看護の専門性は,現在の,あるいはこれから起こるであろう健康問題に対する人間の反応を診断し,かつそれに対処することである(アメリカ看護協会)と強調されている1)ように,看護識者は日々忙しい業務の中で看護の専門性を生涯,主体的に追求し,常に自分を問う姿勢を怠らないようにすることが,これからの医療に応える道と思われる.
私は1989年から医療技術短期大学部に所属し,看護の基礎教育に携わるようになった.看護の専門的知識と技術を習得するための教育は,学校での基礎教育,卒業後の継続教育,卒後教育,現任教育などがあり,医療の進歩を敏感にとらえ,あらゆる過程で質の高い教育が提供されるために,その内容の検討が絶えず行なわれていることを知り,教育者としての責任を痛感した.
Copyright © 1995, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.