特集 ペーパー・ペイシェントによる教育方法・教育評価―看護師2年課程通信制実施に関わる教育教材等の開発に関する研究より
紙上患者事例編
精神看護学
事例1:初老期の抑うつ状態にある患者への看護
キーワード:
抑うつ状態
,
希死念慮
,
支持
Keyword:
抑うつ状態
,
希死念慮
,
支持
pp.983-991
発行日 2003年11月30日
Published Date 2003/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663903545
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現代社会のストレス増大に伴い,うつ病で外来受診する数も増加傾向にある.発病率は,一般人口の0.5%前後といわれている.しかし,精神科外来患者の20%はうつ病であるとの報告もあり,最近の動向としては,軽症のうつ病増加が注目されている.発病の平均年齢は,40歳と比較的高く,女性に多いとされている.統合失調症と比較すると発病年齢の幅ははるかに大きい.また,若年者より中高年での発症のほうが心理的・社会的誘因の関与が大きいといわれている.
躁うつ病は,統合失調症と並ぶ内因性精神病の代表的疾患で,気分障害,感情障害ともいわれている.発病の原因はいまだ不明であるが,脳内神経伝達物質の増減や受容体の異常が発病に関与しているとの研究も進んでいる.うつ病の症状としては,何となく気分が沈み,悲哀感が強い.人に会うのが煩わしい,日常的にやってきたことが重荷になる.能率が悪く,できなくなってしまうことも起こってくる.いわゆる意欲の抑制である.身体症状としては,睡眠障害や疲労感,食欲減退,便秘,口渇,頭重感,性欲減退などが現れやすい.うつ病の初期や軽いうつ病では,身体症状が前面に現れ,内科や他科診療科を受診していることが多い.
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