特集 精神科×内科—患者と家族を支えるために知っておきたい見えない“こころ”のこと
患者心理を知る
終末期のこころ:不安,抑うつ,否認
倉田 明子
1,2
1広島大学病院精神科
2広島大学病院緩和ケアセンター
キーワード:
終末期
,
不安
,
抑うつ
,
否認
,
希死念慮
Keyword:
終末期
,
不安
,
抑うつ
,
否認
,
希死念慮
pp.974-977
発行日 2025年6月10日
Published Date 2025/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.002576990620070974
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Point
◎終末期には今後の経過や死への恐れが不安となり,身体症状と悪循環を呈しうるため,心身の双方に介入することが必要である.
◎うつ病で予後1カ月以内の見込みの場合,抗うつ薬よりも支持的対応や安楽をもたらすケア,不眠や不安への対症的な薬物療法を優先する.
◎終末期の苦痛から自らを守るため,現状を回避することを否認という.適応的な否認であれば,支持的に見守り,医療者間で患者が感じている苦痛を共有する.
◎終末期の希死念慮の背景には,他者とのつながりやケアの求め,自分を尊重してほしいとの希望が含まれる場合があり,患者のニーズを汲みとり孤立させないことが大切である.

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