焦点
国家試験からみた助産婦教育の現状と問題点
大室 律子
1
,
田間 惠實子
2
1千葉大学看護学部看護実践研究指導センター
2前:大阪大学医学部保健学科
pp.124-127
発行日 2001年2月25日
Published Date 2001/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663902450
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はじめに
21世紀の日本は一層の少子・高齢化社会に突入する.それと同時に保健・医療・福祉に関連する課題も山積しており,看護婦等の教育事情も大きな変革期を迎えている.大学での看護教育は,看護大学が急速に新設・整備され,それに伴って助産婦の大学教育も増加しつつある.1991年度に11校だった看護系大学は,9年後の2000年度には86校となった.看護系大学・短期大学数の推移をみると(図1)1999年度には短期大学より4年制大学が多くなり,その数が逆転した.短期大学は1991年度に62校,2000年度になっても依然として増加せず62校である.
看護職の養成が大学教育へと移行しつつある状況の中で,看護婦国家試験の資格取得者の状況をみると,大卒看護婦資格取得者のほとんどが同時に保健婦(士)資格を取得しているのに対し,大学卒業者で助産婦資格を取得している人は極めて少ない.わが国において母子保健の向上に多大な貢献をしてきた助産婦は,その時代の社会情勢に対応しながら古き時代から専門職業人として活躍してきた職種である.大学教育が年々整備・充実されつつあるにもかかわらず大学卒業助産婦が極端に少ないことは,助産婦教育の将来が憂慮される.本論文では,国家試験からみた助産婦教育についての現状を分析し,将来のいくつかの問題点を指摘したい.
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