時事を読む
看護大学の入試にセンター試験採用は妥当か―潜在する有為な看護職予備軍を適正に選抜するために
前島 良弘
1,2
1看護医療系専門予備校啓学館
2神戸海星病院看護専門学校
pp.54-57
発行日 2001年1月25日
Published Date 2001/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663902434
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現状認識と問題提起
各都道府県に最低一看護大学を作ろうという国の施策の下,「看護の自立」を目指した看護における大学教育が普及してきているのは周知の事実である.この看護の最高水準と見なされる大学教育を受けようとするならば,その第一次関門として,一部の私立の看護医療系大学を除いて,文部省の実施する全国共通の大学入試センター試験(以下,センター試験)を受けなければならない.
この試験は,高等学校で習得する基礎的学習内容を基準に問題が作成され,マークシート方式で解答させ,コンピューター処理をすることで,学習成果に対して機械的に序列をつけるものである.この受験期日が毎年1月中旬で,看護職養成校の大半が入学試験を実施する直前の時期に行われる.センター試験終了後,看護職予備軍である受験生は,自己の採点結果と大学受験予備校の推定する偏差値やボーダー予想や様々な資料そして大学入試センターの発表する結果を総合的に判断して,受験希望大学の受験の可否と,受験大学を決めることになる.看護大学と併願で他の看護職養成校の受験を考えている看護職予備軍は,追い込みの一番重要な時期に不確定な数字と格闘しなければならない.結果的に受験希望校と受験校が一致すれば問題ないが,そうでない場合,受験生は受験校選択権がなくなり,受験産業の提示した各大学の偏差値による優劣のランキングを頼りに決定しなければならないのである.
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