特集 入試に小論文を
予備校では入試科目「小論文」をこう位置付けている
佐藤 緑
1
1駿台予備校
pp.105-107
発行日 1998年2月25日
Published Date 1998/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663901776
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英語や数学といった,いわゆる主要科目に片寄った受験中心の教育が批判されて久しい.私自身が学生の時にもすでに言われていたが,いっこうに変革は為されず,受験生自身もいつの間にか「偏差値」で自らが受験校に割り振られる事態(「偏差値による輪切り」と呼ばれている)になじんでしまった.したがって,なぜ大学へいくかの目的はかすみ,「どの大学のどの学部にナニナニの理由で入学し,コレコレについて是非学びたい」ではなく,「とりあえずこの偏差値だとこの大学に受かりそうだから受験する」となった.
たとえばこれは,受験秀才の場合には「偏差値がこれほど高いのだから,東大の医学部が相当.だから受験しよう」となる.受験勉強苦手組の場合は,「偏差値がこうだから,とりあえず資格も取れるから専門学校」となる.その中間層の圧倒的多数の者にとっては,「何が学びたいかなどまだ全然分からない.でもとりあえず偏差値ではこうなので,先ずは浪人しないですみそうな大学を受験しよう.だめだったらその時に考えよう」となる.みもふたもなく書けば,これが実態だ.
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