特集 医療倫理を学ぶ―21世紀における看護者の教育
第3部 事件から学ぶもの
看護婦は臨床からのメッセージを伝えたい―患者・家族が安心して生きる権利のために
新田 幸代
1
1新田クリニック
pp.933-937
発行日 2000年11月30日
Published Date 2000/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663902389
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はじめに
訪問看護とは「病気や障害を持ちながら自宅で療養・生活する人が,安心して快適に生活を継続し,さらによりよい状態で生きることができるように…(中略)…専門的な支援をすること」1)だとされている.急性期医療の場では,病気や障害が対象化され,治癒(または最小限に)することが目的とされる.しかし生活の場では,病気や障害は主客分離し対象化することのできないその人の一部であり,ことさら「病気や障害の意味」が人間存在そのものという視点から問われてくる.
今回,介護殺人と称された事件の当事者である矢野夫妻が体験していた世界から,人間存在にとっての「病気や障害の意味」を考え,訪問看護婦が果たさなければならなかった専門的支援について考えてみたい.
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