特集 医療倫理を学ぶ―21世紀における看護者の教育
第3部 事件から学ぶもの
生きる意欲を失った患者に家族看護の視点を
安酸 史子
1
1岡山大学医学部保健学科
pp.928-932
発行日 2000年11月30日
Published Date 2000/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663902388
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退院後,わずか13日
事件は,脳血栓のため右半身不随・全失語となり生きることへの意欲を失った夫から死なせてほしいと哀願された妻が,これを拒みきれず,専ら夫を苦痛から解放する目的で死に至らしめたという嘱託殺人である.事件は退院後わずかに13日目に起こっている.裁判所はこのことに関して,
「退院後わずかに13日後に発生した事件であることは,患者・在宅療養者やその介護者に対する医療・福祉などの公的支援体制が質量共に極めて貧困であることを如実に物語る」(事件記録より,以下同)
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