海外文献にみる看護教育学研究
理論の枠組による看護成果の再構成:個別性を高める看護実践
竹熊 麻子
1
1佐賀医科大学医学部看護学科
pp.1074-1075
発行日 1999年12月25日
Published Date 1999/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663902181
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過去数十年にわたり,看護者たちは,自らの看護実践の成果をいかに認識し,言語化してゆくかという課題に取り組んできた.多くの看護の臨床家や研究者の努力により,看護の成果を表すための,さまざまな方法が開発されてきたことは私たちの知るところでもある.Nursing Minimum Data Set (NMDS) (Werley & Lang,1988),the North American Nursing Diagnosis Association (NANDA),などはその一部であるが,これらの指標や診断,分類の枠組みは,直接的,または間接的に看護の成果を一般化するために用いられた.
これらは,医学診断と治療活動に密接な関係を持ち,プライマリーヘルスケアにかかわる看護者や臨床の看護者に非常に有効に用いられてきた.
しかしながら,これらの指標を用いて,看護実践のなかで,非常に重要な要素である看護者と対象の相互作用や,卓越した知識と技術に裏打ちされた看護者の対象へのアプローチそのものの価値を明らかにすることは大変困難である.看護者の高度で専門的な看護実践は,実際に数量で表すことはできないが,対象の健康の回復,健康の保持増進,生活の質の向上などに実は大きく貢献しているのである.
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