焦点 研究の基本的諸側面
解説
概念枠組の明確化について
中野 正孝
1
1千葉大学看護学部基礎保健学講座
pp.305-311
発行日 1984年10月15日
Published Date 1984/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681200806
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はじめに
人間や社会等をめぐる複雑な事象を分析して,そこに含まれる法則性を明らかにし,現実の問題を解決していこうとする場合,まず対象となる事象の内容や,事象間の関連性,問題とすべき範囲等を限定するところから始めなければならない。すなわち,概念枠組(conceptual framework)を構成することが必要となる。概念枠組については後に詳述するが,看護の領域においても,このような枠組を構成することが必要とされるであろう。
看護において,概念枠組の必要性が強調されるようになったのは,1970年代になってからであり,その背景には,看護知識が十分定義づけられ,実践科学としての看護に,独自の理論を構成するための基礎として,枠組を与えようとする動きと,看護教育におけるカリキュラムを統合化しようとする試みがあったといわれている1,2)。概念枠組を明確にすることの利点について,小島は2),看護教育体系の再編成という面から,カリキュラムの内容についての決定,看護や医学的内容についての決定,カリキュラム計画についての決定等を導くということを論じている。
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