焦点 看護研究と概念枠組
解説
看護研究における概念枠組の重要性
内海 滉
1
1千葉大学看護学部附属看護実践研究指導センター
pp.310-316
発行日 1986年7月15日
Published Date 1986/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681200884
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はじめに
昭和61年7月30日〜31日青森県弘前市において,弘前大学教育学部特別教科(看護)教員養成課程の福島松郎教授を会長として,第12回日本看護研究学会総会が開催された。第1日目の第1会場でのことである。ある演題に対して,徳島大学の野島良子氏が「この研究には概念枠組がない」と発言,熊本大学の木場冨喜氏は「ある枠組でみればそれしか見えない」と応酬,また同総会のワークショップにおいては,京都大学医療技術短大の近田敬子氏の「看護理論の枠組」の質問に答えて,千葉大学の川口孝泰氏は「そのような枠組などは使ったことがない」と発言,筆者もカントを引用して「すぐに役立つ研究は次元が低い」と主張したら,「枠組を守れ」という注意を受けた。事の是非はとも角,あたかも"枠組"論争の観を呈した。研究者の間には,種々の「枠組」がある。また,無意識の裡には「概念枠組」という枠組を用いながら,「概念枠組」という概念を意識しない者もいよう。
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