連載 薬理学―見方をかえたら・8
一般薬について
堀 誠治
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1東京慈恵会医科大学薬理学講座第1
pp.151
発行日 1999年2月25日
Published Date 1999/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663902023
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最近,いわゆるドラッグストアでの一般薬の販売方法が問題になっているようである.前にも触れたことがあるが,一般薬について,薬理学の立場から考えを述べてみたい.一般薬のなかに,H2拮抗薬などの含まれているものがあり,また,よくコマーシャライズされている.たしかに,臨床効果は期待できるが,その分,作用が強いことを意味する.これらの薬物は,体内蓄積により,また,薬物相互作用により,種々の重篤な副作用を発現することでも知られている薬物である.
感冒薬に抗炎症薬を含んだ薬物が市販されているが,これらの抗炎症薬とキノロン系抗菌薬との間には,痙攣誘発作用を増強させるという薬物相互作用が報告されている.キノロン薬は,多彩な中枢神経系副作用を有しており,その中でも,痙攣誘発作用は重篤な副作用の1つにあげられている.臨床の報告からみると,ノルフロキサシン,エノキサシン,シプロフロキサシン,オフロキサシン,ロメフロキサシンなどでキノロン薬単独および抗炎症薬併用時に痙攣の報告がある.さらに,我々の基礎的な成績を加えると,キノロン薬と併用した際に痙攣を誘発する可能性のある抗炎症薬としては,ビフェニル酢酸,フルルビプロフェン,インドメタシン,イブプロフェンなどがあげられる.これらの抗炎症薬は,一部の総合感冒薬に含まれており,また,それを宣伝の中心においているものもある.
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