臨床に資する看護研究―私の研究指導 第1部 学生に対する私の研究指導
ともに学ぶ研究指導―私にとっての研究
佐藤 紀子
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1東京女子医科大学看護学部
pp.926-929
発行日 1998年11月30日
Published Date 1998/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663901953
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私にとっての研究
私が基礎教育を受けた頃,研究に関する学習は皆無に近かった.かろうじて卒業前にクラスでケースレポートの発表会をしたことを記憶している.したがって,私が初めて研究に取り組んだのは臨床で仕事をしていた頃のことである.昭和63年当時,日本看護協会の看護研修学校に看護研究学科があり,私は主任看護婦(後に婦長となる)として仕事をしながら,2年間研究について学んだ.そこで行った研究は「看護婦の臨床判断の『構成要素』と『段階』と院内教育への提言」1)であり,看護管理における人材育成の領域の研究である.それ以前にも看護学校で専任教員をしていた頃,学生の研究の指導も体験していたが,研究について体系的に学んだことはなく,私にとっては初めて自らが取り組んだ研究であった.
実際に行ってみると,研究のプロセスでは困難なことが数多くあった.私はテーマの絞り込みまでに1年近くの時間を必要とした.テーマを決める過程では文献検索のほか教員やクラスメートとのデイスカッションがたいへん役に立った.周囲に支えられて「臨床で遭遇する問題」を「研究のテーマ」へと発展させることができた.
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