連載 すべって,転んで,立ち上がるために 〜看護職生涯発達学から〜・7
私の経験を研究とともに更新し続ける
村上 優子
1
,
佐藤 紀子
2
1首都大学東京大学院
2東京女子医科大学
pp.859-863
発行日 2017年10月25日
Published Date 2017/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200850
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うまく言葉にできない経験を言葉に
私にとっての研究の始まりは,「看護師として働き続ける中で経験すること─選択・決断という契機に注目して」をテーマに卒業論文に取り組んだことでした。看護師さんたちにお話を聞きに行き,ときには,私の卒業後の進路を気遣ってもらいながら,大変だったけど楽しかった,大切にしたいことに出会えたという感覚をもって終わることができました。そのため,修士課程への進学も,言葉にしようとすることで見えてくる大切な何かに出会いたいという気持ちが強かったと思います。しかし,そのような気持ちをより強く感じたのは,当時の私が病院を変わって働いた経験が土台になっていたからだと思います。つまり,病院を変わって働く私に起こっていることが何なのか,私の経験にはどんな意味があるのだろうかと,悶々としてうまく言葉にできない気持ちの絡まりのようなものを抱えていたのです。今思うと,このような「自分探し」がこの研究に取り組むきっかけだったように思います。
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